8章集中力
私もこれまで他人から色々なアドバイスをもらってきたが、中でも最高と思えるのは、実はあまり目立たない人物からもらったアドバイスである。
多くは、過去の地味なマネージャーからのアドバイスだ。さほどやる気もなく仕事を追われているだけに見える平凡なマネージャー。その姿を見て刺激を受けることもない。仕事が明らかに能力を超えているように見える人もいた。そうする理由は私には決して理解できないが、ただ惰性で生きているような人たち。
彼らに何か言われても、その時はあまり聞いていない。できれば関わりたくないと思っているので話も聞かないわけだ。この人の言うことなど価値があるわけはない、何か大切なことを教えてもらえるわけはない、と愚かにも信じてしまっていたからだとも思う。
そのマネージャーをここでは仮に「ザック」と呼ぶことにしよう。私がその職場に入ってから最初の6ヶ月間、ザックは私に干渉しなかった。それは私があからさまに関わるのを嫌がっていたからかなと思ったのだが、間もなく彼は何にも干渉しない人なのだとわかった。ザックが日々、何をしているのかは誰にもわからなかった。彼は毎日会社に来て、マネージャー会議には参加している。面と向かっても実に退屈な人だ。「最近どう?」くらいの漠然としたことしか言ってこない。製品の開発を主導しているのは実質、プロジェクトマネージャーなので、彼にはやることがない。
ザックが動き始める時、それは誰かが大きく脇道にそれた時だ。ザックには「このままだと大惨事になるかもしれない」という状況を敏感に察知する能力があった。私が脇道にそれるようなことをしていると、ザックはミーティングをしようと言ってくる。ミーティングであれこれ話しているうち、彼は何年経っても忘れることのできない一言を口にしたのだ。 ...
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