45章大脱走
特に変わったところのない、普通の日だった。午前中は2つのミーティングに出たが、やはり変わったところはなし。昼食もいつもどおり。その後はスタッフミーティングだった。アンディが遅れてきた。いつも時間厳守なので、ちょっと変だ。でも、まあいい。
スタッフミーティングも終わったが、やはり特に変わったことはない。アンディが一言も発言しなかったことを除けば。これは妙だ。いよいよ、アンディに一体何があったのかと本気で気になり始める。そこで、彼を捕まえて、近くの会議室で話をしてみる。
私:おい、一体、どうしたんだ。
アンディ:実は会社を辞めるんだ。
それを聞いて、一瞬の間に「アンディが辞めたらどういう影響が出るか」をあれこれ考える。彼がなぜ辞めることにしたのか、その理由はだいたい想像がつく。もはや決意は固く動かしようがないのだろう。後に続いて辞めそうな人間も何人か思いつく。ともかく、自分としては何をどうすることもできない。
突如として何もかもが崩れ落ちていく瞬間、というのはこういう時のことを言うのだろう。
会社の危機
自分に何の落ち度もない(少なくともそう思える)のに、勤めている会社が潰れてしまう、長く働いていれば、そういう経験を一度くらいはするかもしれない。そんなひどい経験は、できればせずに済ませたいが、実際に経験するしないにかかわらず、その時一体、どういうことが起きるかを知っておくことは無意味ではないだろう。
会社が潰れる、というのは実に悲しいことだ。最低な出来事である。この章では、その最低な出来事について、できる限り感情を交えずに冷静に書くつもりだ。どう判断するかは読者の自由である。ただ、本題に入る前に、この最低な出来事にも良い面はあるということは言っておきたい。それは、一度、経験しておけば、今後、同じようなことが起きる時には早めに察知できるということである。 ...
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