
311
ここはこの本でもっとも書くのが難しい部分だった。幸運にも、私はキャリアを通
じて非常に多くの人々から支援を受けてきた。会う人、一緒に仕事をする人、すべて
の人々から、励ましを受けてきている。そこで、人々に感謝の言葉を言い出した途端、
どなたかを言い忘れてしまうのではないかというのが恐怖になるのだ。あなたの名前
を言い忘れていたら、本当にごめんなさい。私たちの仲に免じて許してください。
そしてもうひとつ気になっているのは、私独自のアイデアなどない、という点だ。
もうオリジナルのアイデアなどというものは残っていないものだ、という議論を聞い
たこともある。私個人について言えば、私の知っていることはすべて、過去
20
年の
間に一緒に働いたことのある賢い人々から学んだものだ。それら知恵のある友人、同
僚から私は新しい考え方や実践を学び、応用している。彼らとの長い議論を通じて、
私は自分の仕事をするときに自分の経験を解釈し、深く理解することを学んだ。この
本にあるアイデアは、ほとんどが他の人々から借りたり盗んできたりしたものなので、
どれも自分のものとは言いがたい。
これはオリジナルのアイデアだと思うものが出てくるたびに、潜在記憶のことを思
い出す。これは、ジョージ・ハリソンやウンベルト・エーコなどの名声のある人々も
犯した不慮の剽窃行為を説明する言葉だ。潜在記憶は、忘れた記憶が記憶と認識され
ずに蘇るときに起こる。該当者は、自分が今思いついたばかりのアイデアは新しいオ
リジナルなものだと思っており、自分が読んだり、聞いたりその他の形で経験したも ...