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2 章 トリガー
1990年代のこと、ニューヨーク市交通公社(NYC Transit)は、毎日700万人も
の人が利用するバスや地下鉄の運賃支払い方式を変更することにしました。1904
年から使われてきた金属製の「トークン」から、薄いプラスチック製の「メトロカー
ド」への変更です。変更計画の鍵となるのが、メトロカードの自動販売機をデザイ
ンし、全域に設置するという困難な作業でした。
ニューヨーク市の人口は 800 万人以上で、近郊には2,000万人以上が住んでい
ます。ニューヨーク市都市計画局の報告書によれば、2000 年時点では住民の36%
が外国生まれでした。英語以外の言語を話す人が多いので、40もの言語の新聞や
雑誌が発行されています
[Editor 2002]
。目が見えない人や字が読めない人が何万人
もいます。ニューヨーク市の観光案内によれば、毎年訪れる観光客は年によって
3,500万人から5,000 万人にものぼりますが、メトロカードについては何も知らな
い人がほとんどです。実は、ニューヨーク市交通公社の経営母体であるニューヨー
ク州都市交通(MTA)がすでにメトロカード自動販売機の試験機で調査を行ってい
たのですが、多くの利用者は機械を見ただけで敬遠し、すぐには使い方を理解で
きませんでした。 ...