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人間の視覚
視野角、両眼視差、輻輳開散運動、焦点距離、瞳孔間距離
2-1
モノを見るしくみと理解する必要性
人間の眼は角膜や瞳孔、水晶体、網膜など複数の組織で構成されていま
す。物体に反射した光が眼に入って角膜や水晶体で屈折し、網膜上に集ま
った光の情報が脳に送られることで「見る」ことができています。
VRヘッドセットや AR グラスは、人間の錯覚を利用して立体的な像を見
せるように設計されており、XRのしくみを理解するにあたって、人間の
眼の構造への理解は切り離せません。
視野角との戦い
人間は真正面を見た状態でも、水平方向に約200 度の視野角を持ちます
(図2-1)。一方、ヘッドセットは人間の眼より視野角が劣ることにより、
縁が黒く見えるという課題があります。
後に紹介するパンケーキレンズやフレネルレンズといったレンズ設計の
改 良 に よ り、 凸 レ ン ズ を 使 用 し た TheSwordof Damocles(1968) や
Virtuality(1991)の視野角約20 度と比較すると、現代の Meta Quest3 や
AppleVision Pro はおよそ100度の視野角を実現しています。しかし、ま
だまだ人間の半分程度であり、改善の余地があるといえます。
遠近感との戦い
ヘッドセットには、視野角の他に遠近感の把握という課題もあります。
遠近把握には
両眼視差、輻
ふく
輳
そう
開散運動
、焦点距離の 3 要素が絡んでいます
(図 2-2)。しかし、従来のヘッドセットは遠近把握を両眼視差だけに頼っ ...