
320
11 章 意思決定のための分析思考Ⅱ:分析思考から分析工学へ
説明した、よりシンプルな定式化でも十分満足できるかもしれません。
ここで忘れないでほしいのは、このデータへの投資を慎重に管理するためにも、この本を
通じて発展させてきたコンセプトを適用することができる、ということです。
8
章では、学
習曲線によるモデル性能の可視化というコンセプトを説明しました。学習曲線を確認するこ
とで、データ量(今回のケースでは、ここまでのデータへの投資額)とそれに伴う汎化性能
の改善がどのような関係になっているかを理解しやすくなります。汎化性能の考え方を拡張
して、一定の基準値を超えた性能の改善を行えるようにするのは、難しくありません(
7
章
の基本コンセプトを思い出してみてください。そして、比較の対象とする基準を何にするべ
きか、慎重に検討してください)。その基準は、既に説明した、よりシンプルな乗り換えモ
デルでも良いかもしれません。これらのことを踏まえると、データへの投資は徐々に行い、
データの増加が性能の改善につながっているのを確かめながら、また、学習曲線が今後のさ
らなる改善を示しているのを確かめながら、進めていくのがよいでしょう。もし、そのよう
な分析によって、データへの投資に価値がないことがわかったら、投資を中止すればいいの
です。
重要なのは、投資を中止したとしても、その投資が無駄だったわけではないということで
す。なぜならば、投資を行ったのは情報(今回のケースでは、データの増加が、最終的な目
的である、費用対効果の高い乗り換え削減にとって有益なのかどうか、という情報)に対し ...