
043
カイゼン・ジャーニー
06
E P I S O D E 0 6
境目を行き来 する
06
帰ってこないタスク
しまった……。また、手遅れになっているタスクを見つけてしまった。チーム
メンバーの藤谷に依頼した、機能の改修がもう2週間も放置されていた。さっそ
く藤谷とSlack で会話を始める。
「藤谷、配送先マスタをユーザーで管理できるようにする機能の件、どうなった?」
一向に返事はない。仕方なくSlackのアプリを画面から消して、他のタスクに
取りかかる。とりあえず声をかけておいて、返事を待とう。他にもやることは山
ほどある。
3時間ほど経過して、別件でチャットをやっているときに、はたと気がついた。
藤谷からの返事がまだない。あいつ……。仕方なく、席を立ち上がって、別フロ
アへと移動を始める。
藤谷がいるのは、一つ上の階になる。藤谷は、自席にいた。髭が無造作に伸び
散らかされていた。
「藤谷、返事しろよ」
「……おお、江島。何のことだっけ」
1日や2日は家に帰っていないような雰囲気だったが、藤谷の声に力はあった。
昔から体力には自信を持っている、タフな同僚だった。
「さっきメッセしただろう。配送先の機能開発の件だよ」
「おお、ごめん。今日は問い合わせが多くてな。ちょっと目を離したら、すっか
り忘れてしまったよ」
先週一人新人が辞めたことで、全社的に異常な残業が起きていないか、各部署
での棚卸と分析が行われている。藤谷は、開発プロジェクトとは別に、自分の部
署の残業時間整理をアサインされてしまったらしい。彼もマルチタスクっぷりが ...