
210 7 章 数理モデル
7.6 私の体験談から:100 % の正確度
ダー
クブルーのスーツに埋め尽くされる取引所から、短パンとスニーカーだらけの大学にやってきた 2 人
のビジネスマンは、少し居心地が悪そうだった。彼らはパブロとホワンと言う。彼らはいかに居心地が悪く
とも、自分たちのビジョンを現実のものとするために我々を必要としていた。
パブロが言った。スーツの色が濃い方だ。「ビジネスの世界はまだ紙で動いています。我々は、紙に印刷
されているウォール街の金融関連の書類を全部デジタル化するという契約を取ってきました。書類をスキャ
ンできるコンピュータを納品すれば、一儲けできます。今ウォール街がどうしているかと言うと、人を雇っ
て 1 つの文書を 3 回ずつ入力させています。絶対に間違わないようにするのです」
魅力的な話だったし、彼らはそのためのリソースも持っていた。しかし、注意が 1 つあった。「そのシス
テムでは、間違いは絶対認められません。まあときどき『わかりません』という判断は認められてますけど
ね。何か文字を判別するときには、その文字は 100 % 正しくなければいけないのです」
私は彼らに言った。「そんなの簡単ですよ。いつでも必ず『わかりません』と答えるようにすれば、みな
さんの仕様を満足させるシステムになりますよ」
パブロは顔をしかめた。「そんなことをすれば、コストがかかってしかたがありません。このシステムで
は、『わかりません』が入力されると、人間のオペレータに送られるようにするつもりです ...