
5.1 統計的分布 115
全に定義される。分布の調整に使えるつまみはこの 2 つだけだ。
何が正規なのか?
驚くほど多くの自然発生的な現象が正規表現によってモデリングされる。おそらく、最も重要なのは測定
誤差だろう。体重計で体重を測ると、体重に変化がなくても測るたびに少し異なる結果が得られる。室温や
床の歪みによって体重計が示す値は高くなったり低くなったりする。小さな誤差は大きな誤差よりも発生し
やす
く、わずかに高くなることはわずかに低くなることと同程度にある。実験誤差は、ガウス雑音と呼ば
れ、一般に正規分布に従う。
身長、体重、寿命といった自然現象も、すべて同じような根拠からベル型に分布する。しかし、母集団を
正確に指定せずにそのような分布を正規だとするのは、少し軽すぎる。人間の身長は正規分布なのだろう
か。明らかに違う。男性と女性では平均身長は異なり、その分布も異なる。では、男性の身長は正規分布な
のだろうか。明らかに違う。子どもを入れるか大人だけを対象にするかで、分布が異なるものになる。で
は、アメリカの成人男性の身長は正規分布か。おそらく、それでも違うだろう。小人症、先端巨大症のよう
な成長異常を持つ人々は、それなりに大きな母集団を持つ。正規分布で説明できる以上に身長が高い人や低
い人がかなりいるということである。
おそらく、ベル型だが正規分布ではないものとして最も有名なのは、金融市場の日々のリターン(価格
の変動率)だろう。大暴落とは、価格が大きく下がることである。1987 年 10 月 10