
返報性
返報性、つまり他者のふるまいに報いたい性向は、わたしたち人類に共通する強
い衝動だ。人類は返報性に価値を見出し、社会的規範として大切にしてきた。しか
し同時に、返報性は他者につけこまれる可能性が高い行動の決定因子でもある。他
者のふるまいに対して返礼しようとするこの衝動をテクノロジーが利用し、結果と
してわれわれの行動を形作るのだ。例えば、
LinkedIn
は返報性を利用してユーザー
がプラットフォームに戻ってくるようにしている。具体的には、つながりのリクエ
ストを受け入れたり、ダイレクトメッセージに応答したり、誰かのスキルを承認し
たりするような場合だが、実際には
LinkedIn
で誰かがあなたにつながりリクエス
トを送信していたとしても、彼らが積極的にあなたを招待しようと決めたわけでは
なく、単にプラットフォームの提案する連絡先リストに反応しているだけという場
合もある
[図 12- 8]
。言い換えれば、人とつながりたいという誰かの無意識的な願望
が、他の人にとってはそれに応えないといけないという社会的な義務感に転じる。
こうして両者はプラットフォーム上でより長い時間を過ごすことなり、それが最終
的に
LinkedIn
に、より利益をもたらすのだ。
図12-7 現在は終了したAmazonのダッシュボタン
*10
。
出典:Amazon、2019年
*10 訳注:この写真の例では、洗濯機に貼り付けられたAmazonのダッシュボタンを押すと、「 Tide」という洗剤がAmazon
に発注される。
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