
行動心理学や認知心理学の研究からもたらされた豊富な知識は、デザイナーが人
間中心のユーザー体験を作り出すための貴重な基礎となる。人間の空間体験を熟知
した建築家がより良い建物を作り出すのと同じように、人のふるまいをよく理解し
ているデザイナーはより良いデザインを作り出すだろう。こうした詳細な知識をど
のように組み立て、そしてそれをどうデザインプロセスの一部に組み込んでいくか
が課題になる。この章では、デザイナーが本書で見てきた心理学的原則を習得し使
いこなし、関連するデザイン原則をもとにチームの目標や優先順位を明確にしてい
く方法を探る。
意識づける
意識づけは、デザイナーが心理学の概念を自分のものとし使いこなしていくため
の、単純だが最も効果的なやり方だろう。実際にわたしが目にしてきた意識づけの
戦略をいくつか挙げておこう。
視界にいれる
この本で議論されている原則を最もすばやく簡単に内在化するには、それらを職
場で目に見える形にすればいい。「
Laws of UX
」のプロジェクトを始めてから、ウェ
ブサイトに置いてあるポスターをプリントアウトし、みんなから見える壁に張り出
した様子の写真を数多く受け取っている
[図11-1]
。世界中のオフィスの壁面で自分
の仕事が見られることをとても誇りに思うと同時に、それが意識づけの役割を果た
していることを知った。ポスターが絶えずチームの視野に入れば、多種多様な心理
学的原則を思い出させる一助となり、デザインプロセスにおける意思決定をサポー
トできる。さらに、ポスターは人の情報知覚と処理の仕方を思い起こさせる役割も ...