
事例
ここでは、美しさを事業の中心に据えている
2
つの企業に焦点を当てて美的ユー
ザビリティ効果の例を紹介しよう。まず、ドイツのエレクトロニクス企業である
Braun
*5
は、デザインの世界で記憶される成果を残し、美しく心地良いプロダク
トがいかに永く印象を与え続けるかを示してきた。ディーター・ラムスのデザイン
ディレクションのもと、バウハウスの「形態は機能に従う
(form follows function)
」
を指針として機能的なミニマリズムと美しさのバランスのとれたプロダクトを生み
出してきた同社は、何世代にもわたってデザイナーに影響を与えてきた。ラムスの
掲げた「形態は機能に従う」をよりいっそう強調した「
less but better
(より少なく、
しかしより良く)
」というアプローチは形態は機能に従うべしということを重視し、か
つてないほどに優れたデザインのプロダクトを生み出した。
例えば、白い金属製の筐体と透明な蓋から「白雪姫の棺」と呼ばれた
Braun
の
SK4
レコードプレーヤー
[図7-3]
を見てみよう。粉体塗装された金属板とニレ材の
サイドパネルでできている
SK4
は、
1956
年当時の消費者が手にすることができた
贅沢な装飾の木製のプロダクトとは一線を画した存在だった。金属製カバーのレ
コードプレーヤーは音量が大きいとガタつきが生じていたが、
SK4
ではプレキシガ
ラスのカバーを採用することでこれを解消している。
SK4
はどの細部にも機能的
な目的があり、
Braun
の新しい工業デザインの道を切り開いた。このようなプロ ...