
CHAPTER 12
なぜ倫理が重要なのか
いま、なぜテクノロジー産業の人々が、搾取的なテクノロジーに注意を払うべき
かを探ってみよう。年々デジタル技術は進化し、ますます日々の生活に入り込んで
きているように思える。スマートフォンやその他のスマートデバイスの登場以降、
わたしたちは小型化されたコンピューターをポケットに入れたり、腕に装着したり、
デバイスが埋め込まれた服を着たり、あるいはバッグに入れて持ち運んだりするな
ど、ますますそれらを頼るようになってきている。移動手段から宿泊施設、食品や
消費財までのすべてを、わずかなタップとスワイプだけで手に入れることができる
のは、この小さくて便利な相棒のおかげだ。これらの便利なデバイスはわれわれに
自由や能力の向上をもたらすが、常に良い結果につながるとは限らない。善良な意
図を持った企業が、最終的に意図しない結果をもたらすテクノロジーを生み出すこ
とがある。
良かれと思ったことが思わぬ結果に
有害なプロダクトやサービスを作ろうとする企業などほとんどいない。
Facebook
が
2009
年に「いいね!」ボタンを導入した際、アプリを開いて自尊心を
確かめるたび、社会的肯定感による少量のドーパミンが放出されるメカニズムが、
こんなにも中毒性高く機能するフィードバックになるとは思っていなかっただろ
う。また、無限スクロールの導入によってユーザーがニュースフィードを無心にス
クロールし、何時間も過ごすようになることも意図していなかっただろう。
Snapchat
は、フィルターの機能がこれほどまでに自分自身の見方や他者への見せ ...