
テクノロジー産業の変化は速く、失われたものたちすべてが顧みられることはな
い。いま、研究が追いつき始め、「進歩」による長期的な影響が解明されつつある。
スマートフォンがあるだけで、デバイスの電源を切っていても利用可能な認知能力
が低下するようだ
*12
。加えて、ソーシャルメディア利用と社会的弱者に対する不安
効果にも関連がある。すなわち、若年成人期における鬱や孤独感の増大
*13
や青年
期の自殺関連行動ないし死亡の増加だ
*14
。テクノロジーが人々の生活や社会全体
にどのような影響を与えているのかを研究者が詳しく見ていく中で、このような不
幸な副作用の実態がどんどん浮かび上がってきている。
倫理的責務
デジタルプラットフォームが本来解決しようとしていた人間の課題への視点を見
失ってしまうと、人間のもろさが搾取の対象となる。購入、つながり、消費を促す
のと同じテクノロジーが、集中力の欠如、周囲との人間関係のひずみ、行動の歪み
をもたらす。行動デザインは人を「ハマらせる」ことができるが、その代償はある
のか。いったいいつから「
DAU
(日次のアクティブユーザー)
」や「滞在時間」が、目標達
成の手助けや意味ある関係性作りの支援よりも大事な指標とみなされてしまうよう
になったのか。これらの問いに答えるには、心理学とそれに基づく
UX
デザインが
重要になる。
デザインプロセスには倫理が組み込まれていなければならない。このチェックア
ンドバランス
*15
がなければ、テクノロジーを生み出す企業や組織の中でエンドユー
ザーを擁護する人がいなくなる可能性がある。サイト滞在時間を増やし ...