
CHAPTER 6
起源
ピークエンドの法則の証拠がはじめて見い出されたのは、ダニエル・カーネマン
らの
1993
年の論文「
When More Pain Is Preferred to Less: Adding a Better
End
(より強い痛みのほうが好まれる場合:終わりを良くする)
」
*1
においてである。彼らの行っ
た実験は、被験者が
2
つの異なるバージョンの不快な経験にさらされるというもの
である。最初の試験では、被験者は
14
℃の水に
60
秒間、手を浸した。
2
回めの試
験では、もう片方の手を
14
℃の水に
60
秒間浸し、さらに水温を少しだけ上げて
15
℃にした状態で
30
秒間浸したままにしておくというものであった。その後、ど
ちらの体験を繰り返すかの選択を与えられたとき、冷たい水にさらされている時間
が長いにもかかわらず、被験者は、
2
回めの試験を繰り返したいと感じていた。カー
ネマンらの結論は、参加者が長いほうの試験を選んだのは、単純に最初の試験と比
較してそちらのほうがいい記憶だったからだ、ということであった。
その後の研究でも、この結論が裏付けられることになった。例えば、カーネマン
とレデルマイヤーによる
1996
年の研究
*2
では、大腸内視鏡検査または結石破砕術
の患者が一貫して、自分の経験の不快感を最悪の瞬間と最後の瞬間に感じた痛みの
強さに基づいて評価しており、手術中に痛みがどのように変化したか、どのくらい
長く続いたかは無関係であった。彼らは後の研究
*3
でこの実験を拡張し、患者を
無作為に
2
つのグル