
ここまでの章で、人の心理をうまく活かせば、さらに人間中心的で直感的なプロ
ダクトや体験が作れるのを見てきた。わたしたちが本書で追い求めてきた心理学由
来の重要な原則は、人をテクノロジーに無理やり合わせるデザインではなく、人が
あるがままであるためのデザインへと導いてくれるものだ。この知識を得たデザイ
ナーは大きな力を手にすると同時に、責任も負うことになる。行動心理学や認知心
理学の知見を活用して、より良いデザインを目指すこと自体は何も悪いことではな
い。しかし同時に、プロダクトやサービスがいかにユーザーのゴールや目的達成を
意図せず損なう可能性があるか、説明責任がなぜ重要なのか、そしてどうすれば時
間をかけてそれらにより自覚的になれるのかを考えることが非常に大切だ。
テクノロジーはどのようにして行動を形作るのか
人の心がどのようにパースウェーシブテクノロジー
*1
に影響を受け、行動がどの
ように形作られるかについて理解することが、デザインの意思決定に責任を負う第
一歩だ。行動の決まり方についての基礎的な研究は数多くある。しかしアメリカの
心理学者、行動主義者、作家、発明家、そして社会心理学者であった
B. F.
スキナー
による研究ほど影響力を持ち、基礎となっているものはないだろう。スキナーは、
オペラント条件付けと名付けたプロセスを通じて、特定の行動と結果が結びつき、
行動が学習され、修正されていくさまを研究した。後にスキナーの名を冠して呼ば
れることになる機器を使い
[図 12-1]
、特定の刺激に対して望ましい行動をとるよう ...