
結論
見た目が美しいデザインは、ポジティブな感情的反応を生み出すことでユーザビ
リティに影響を与え、その結果人々の認知能力を高めることができる。するとユー
ザーはデザインが本当にうまく機能していると信じこむ傾向にあり、些細なユーザ
ビリティの問題を見落としてしまいやすくなる。これは良いことのように思えるか
もしれないが、ユーザビリティテストにおいては、本当のユーザビリティ上の問題
を覆い隠し、課題発見を邪魔してしまうおそれもある。
ソンダーレッガーとザウアーによれば、被験者が魅力的なほうの携帯電話
(左側の
モデル)
のユーザビリティを高く評価しただけでなく、携帯電話の見た目によって「パ
フォーマンスにもプラスの効果があり、魅力的なモデルのほうがタスクの完了時間
が短縮された」という。この研究が示唆しているのは、美しさがユーザビリティの
問題をある程度まで隠蔽しうるということだ。デバイスが実際には使いやすくない
場合にもこの効果は生じ、問題点を特定することが重要なユーザビリティテストで
は致命的になるおそれがある。
体験のユーザビリティを評価する際には、ユーザビリティの感じ方が見た目に
よって左右されうることを意識しながら、ユーザーの発言に耳を傾け影響を和らげ
ることが重要だ。また、さらに重要なのはユーザーの行動を観察することだ。そして、
参加者が見た目の美しさ以外にも目を向けるような質問を投げかけることでユーザ
ビリティの問題を明らかにし、見た目の魅力でユーザビリティテストの結果が歪ん
でしまうのを避けられる。 ...