
ピークエンドの法則を理解するためには、認知バイアスについて知っておくこと
が役に立つ。認知バイアスはそれ単体で本が1冊書けるくらいのテーマだが、ここ
ではピークエンドの法則の文脈で簡単に紹介しよう。
認知バイアスは、思考や合理的判断における系統誤差
*4
だ。わたしたちの外界認
識や意思決定はその影響から逃れられない。この概念は1972年にエイモス・トヴェ
ルスキーとダニエル・カーネマンによってはじめて紹介された
*5
。こうした心の
ショートカット機能があることで、わたしたちは状況を徹底的に分析することなく
すばやく意思決定でき、効率良く行動できる。意思決定のたびに考え込んで立ちす
くんでしまったりしないのは、こうした無意識で自動的な反応に頼ってものごとを
すばやく処理し、負荷のかかる心理的な処理は本当に必要なときだけに絞っている
からだ。しかし、認知バイアスは思考や知覚を歪め、最終的には不正確な判断や不
適切な判断につながることもある。
感情的に意見が対立しやすい話題について論理的な議論をしようとして、とてつ
もなく難しく感じたことはないだろうか。この原因を掘り下げると、自分の信念を
裏付ける情報ばかりに注目し、相反する情報を無視してしまうというわたしたちの
認知特性によって生じていることが多い。これは確証バイアスとして知られてい
る
*6
。人は、自分の先入観や考えを確かめるように情報を探し出し、解釈し、想起
する傾向があるというバイアスだ。そして、これ以外にも人間が日常的に影響を受
けているバイアスは数多くある。 ...