
CHAPTER 6
事例
いくつか事例を見てみよう。最初に取り上げるのは、記憶に残るユーザー体験を
生み出すパーソナライズの力を理解している企業の例だ。年末は、それまでの
365
日間の思い出、挑戦したこと、達成したことを振り返る良い機会だ。それはいろい
ろな意味で、それまでの自分に終止符を打ち、新しい自分を始めることでもある。
Spotify
は人々が内省しやすいこのタイミングを捉え、
Spotify
まとめ
(
Spotify
Wrapp ed
)
という機能により、ユーザーが過去
365
日に再生した音楽や音声コンテン
ツを振り返る機会を提供している。
Spotify Wrapped
では、ユーザーが最も好ん
で聞いたアーティストや最も多く再生された曲などの統計を見ることができる他、
よく聞く音楽の傾向に基づいて異なる色になる「オーディオオーラ
(
Audio Aura
)
」や 、
対話型のクイズ、ユーザーの好みに合った映画のサウンドトラック、世界中のリス
ナーのランキングなどの機能も提供されている
[図 6-1]
。ユーザーは、音楽を通じて
自分自身についての理解を深め、好きなアーティストやポッドキャストについてよ
り深く学び、さらにそれらをシェアすることでより大きな音楽コミュニティに参加
できる。このように、
Spotify
はパーソナライズの力を活用して、特別で親密に感
的なピークの瞬間と終わりの瞬間に感じたことの平均を想起するのだ。
ピークエンドの法則は、親近性効果
( recency eect)
という別の認知バイアスにも
関連している。これは、並び順の最後に近い項目が最も想起されやすいというもの ...