
応答時間をめぐる問題のほとんどは「遅すぎる」ことに尽きる。一方で直感に反
するようではあるが、短い応答時間についても考慮が必要な場合がある。システム
の応答時間がユーザーの想定よりも速い場合にも、ちょっとした問題が生じうる。
はじめに、変化が少し速すぎて完全に見過ごされる可能性がある。これは変化が
ユーザーによって行われたアクションの結果でなく、自動的に発生した場合に特に
当てはまる。応答時間が短すぎる場合に起こりうるもう1つの問題は、変化が速す
ぎて十分に認知する時間が確保できなかったために、何が起こったのかをユーザー
が理解できなくなることだ。「このタスクならこのくらい時間がかかるだろう」と
いうユーザーの予想に反して応答時間が短すぎる場合、不信感につながることもあ
る。実際にはそれほど時間がかからない処理であっても、意図的に遅延させること
によって価値あるように感じさせ、信頼感を醸成できる。よく考えた上での対応が
必要な場合でも、うまく使えば摩擦が役に立つ。例えば、確認モーダルは、システ
ム2として知られる努力と評価の認知的プロセスを活性化し、失敗やエラーの可能
性を減少させるのに十分な摩擦となりうる。他の例としては、Googleのプライバ
シー診断プロセスがある
[図10-7]
。これは、潜在的なプライバシーの脆弱性につい
てアカウントをスキャンするものだ。Googleはこのプロセスを、何がスキャンさ
れるかについての教育機会として活用し、スキャンが徹底しているという信頼を植
え付けるために、必要以上の時間をかけている。 ...