
CHAPTER 9
起源
テスラーの法則の起源は
1980
年代中盤に遡る。ゼロックスパロアルト研究所の
計算機科学者だったラリー・テスラーは、デスクトップコンピューターとデスクトッ
プパブリッシング
(
DTP
)
の開発の鍵となる対話型デザイン言語の開発に関わってい
た
*1
。この言語には対話型システムの構造と動作を定義する一連の原則、規格が含
まれている。テスラーは、インターフェースの一貫性が、ユーザーだけでなく開発
者たちにも有益だと気づいた。なぜなら、標準的なものをソフトウェアのライブラ
リにまとめて共有しておけば各自がすぐ利用できるためだ。また、のちにテスラー
は
Apple
で
Mac
のアプリケーションのオブジェクト指向フレームワーク開発を担当
している際に「汎用アプリケーション」という中間的なものを生み出した。これに
より、開発者はこの汎用アプリケーションをオブジェクト指向の方法で修正するこ
とで、自分たちのアプリケーションを構築できるようになった
*2
。テスラーは、「複
雑性保存の法則」を定義し、
Apple
の経営陣や独立系ソフトウェアベンダーにアイ
デアを売り込む方法として考案した。その目的は大衆向けソフトウェアの標準を確
立することだったが、さらに重要なのは、顧客にとっての複雑さを減らすべきだと
主張したことだ。テスラーは、「もし
100
万人のユーザーが毎日
1
分間、エンジニア
が
1
週間頑張ってソフトウェアを少し複雑にすることで解消できたはずの問題に時
間を費やしているとしたら、それはエンジニアの仕事を楽にするためにユ ...