
パンや焼き菓子を理解するには、時間と温度以外にも理解が必要なものがあ
る。空気と水もまた、重要な変数だ。空気や水を食材として考える人は少ない
かもしれないが、これらはパンや焼き菓子には非常に重要だ。パンもケーキも、
空気と水分によって食感や風味、そして外見を作り出している。イーストはパ
ンを膨らませると共に風味を加え、ベーキングパウダーや重曹は二酸化炭素を
作り出してケーキを膨らませる。泡立てた卵白の中の空気はスフレを膨らませ、
マカロンを軽い食感にし、エンジェルケーキをふっくらとさせる。そして、チョ
コレートチップクッキーのもちもちした食感とカリッとした食感の違いは、そ
のクッキーが焼かれた後に含まれる水分の、ほんの数パーセントの違いによる
ものだ。
最初から化学的組成が固定されている通常の料理(サーモンの切り身に含ま
れるタンパク質の種類をシェフが変えることはできない)とは異なり、焼き菓
子作りではガスを作りだしたり空気を閉じ込めたりするために、材料の比率を
バランスよく整えることが必要になる。このバランスを達成するため、最初に
精密な計量が必要になることもあるし、生地が膨らんで行く様子を注意深く見
守り、感じ取ることが必要になる場合もある。もしあなたが、のびのびとレシ
ピにアドリブを加えて行く直観的な料理人なら、おそらくパン作りが楽しめる
だろう。また、正確さを楽しめ、整然とした環境が好きな几帳面な料理人や、
料理によって愛情を表現することが好きな人なら、ケーキやペストリー、クッ
キーなどを焼くほうが向いているだろう。どちらにしても、これらの背後にあ ...