March 2021
Beginner to intermediate
288 pages
5h 8m
Japanese
| アラン・オカリガン | ![]() |
スクラムチームの仕事は、開発しているプロダクトの顧客に可能な限り最高の価値を届けることだ。すなわち、最も基本的な意味で、スクラムチームはビジネスユニットであり、単なる実装・開発グループではないということだ。スクラムチームは自己組織化チームであり、チームとしてビジネスの目的とゴールに沿った判断を下す責任がある。
アジャイルコミュニティは、プロダクトが開発プロセスを通じて「発見」されることに気づいている。最初は、ビジョンはあっても最終的なシステムの詳細はわかっていない。繰り返しているうちにだんだん見えてくるものだ。プロダクトに込められたビジネス価値にも同じことが言えるが、そのことはあまり知られていない。ビジネス価値の詳細も、仮説を検証したり棄却したりして、繰り返すうちにだんだん見えてくる。プロダクトビジョンはスクラムチームにとって価値の羅針盤となる。チームの判断はビジョンに沿っているかで評価される。その判断はビジョンの実現につながるか、実現を妨げるかという観点だ。
仕事の価値についての仮説を検証する能力をチームに与えるのは、まずはプロダクトオーナーの役目だ。プロダクトオーナーは、プロダクトと開発者の仕事の価値を最大化する責務を負っている。スクラムチームのフルタイムのメンバーとして、プロダクトオーナーは開発チームと密接にコラボレーションし、合意を形成しようとする。ただし、スクラムチームでは唯一プロダクトオーナーのみが、ビジネスの問題について独立して決定を下す権限を持っている。完全な合意形成を待っていたら時間がかかりすぎるからだ。それでも、その権限にばかり頼るのは下手くそなプロダクトオーナーだ。優秀なプロダクトオーナーは、本当の自己組織化のためにはスクラムチームの共通の目的が ...