March 2021
Beginner to intermediate
288 pages
5h 8m
Japanese
| 吉羽 龍太郎 | ![]() |
スクラムでは、スプリントのなかでプロダクトバックログアイテムを完成させていく。1つのプロダクトバックログアイテムを複数のスプリントにまたがって完成させるような計画を立てることはない。完成しなかったプロダクトバックログアイテムは再見積りしてプロダクトバックログに戻し、それにいつ着手するかはプロダクトオーナー次第だ。
プロダクトバックログアイテムが完成しているかどうかは、機能性と非機能性の両方が満たされているかどうかで判断される。
機能性とは、プロダクトオーナーと開発チームで合意した動作だ。スクラムガイドでは触れられていないが、「受け入れ基準」を用意しておき、それを満たしているかどうかをプロダクトオーナーと開発チームで確認することもある。
一方で非機能性とは、プロダクトが満たさなければいけない内部品質だ。プロダクトにはプロダクトごとに違った内部品質が求められる。手術用ロボットに求められるものと、数か月しか使わないキャンペーン用のウェブサイトではまったく内容が変わってくるのは明らかだ。このようにプロダクトとして満たさなければいけない内部品質のことを「完成の定義」と呼ぶ。
機能性を満たしていても、非機能性を満たしていなければそれは完成ではない。品質を満たしていないプロダクトを無理にリリースして痛い目を見たことがあるのは筆者だけではないはずだ。両方を満たして、初めて「完成」である。
スクラムチームは、時に大変な苦労をしながら、「完成」したインクリメントを届けるのに全力を尽くす。今回のスプリントは大変だったけど、なんとか「完成」したと安堵する。そして、次に作る機能に関心を向ける。 ...