18プロダクトオーナーは情報のバリアではない
| マーカス・ガートナー | ![]() |
私たちが目にするスクラムチームのほとんどで、プロダクトオーナーはコミュニケーションのボトルネックになるようなやり方で自らの役目を果たしている。こういったプロダクトオーナーはステークホルダーや専門家からの情報を開発チームに渡すのに、まるでさじで食べさせるかのようにする。プロダクトオーナーが直接回答できない質問を開発者がするたびに、プロダクトオーナーはそのテーマの専門家のところに行って答えをもらい、それを開発チームに渡すのだ。こんなやり方をしていると、開発チームの速度はプロダクトオーナーのコミュニケーション能力に左右されることになる。伝言ゲームと同じだ。
プロダクトオーナーの役割の解釈次第では、信じられないくらい効果的なコミュニケーションのできる人であれば、プロダクトオーナーとしての役目を果たせるかもしれない。だが、残念ながら、このようなやり方でプロダクトオーナーをうまくこなせている人は多くない。
良いアプローチを見ていく前に、企業がどのようにしてプロダクトオーナーをそのようなボトルネックにしてしまうのかを最初に見ていこう。いちばん多いのが、プログラマーが専門家と直接話すことはできないことへの不安ゆえだ。開発チームのメンバーが専門家やステークホルダーと直接会話すると、たとえばプロダクトオーナー抜きでスプリントに追加のフィーチャーが入り込んでしまうことを企業は恐れている。それが起こると、最初に想定したよりも機能の実装に時間がかかったり、開発チームがスプリントゴールやスプリントで計画した作業を達成できなくなったりしてしまうかもしれない。さらに、プロダクトオーナーが、開発サイクルに入っている機能を詳細に見ていないために、開発チームが優先順位の低い機能を作っているといったことも起きるかもしれない。こういったことを恐れているのだ。 ...
