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スクラム実践者が知るべき97のこと
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スクラム実践者が知るべき97のこと

by Gunther Verheyen, 吉羽 龍太郎, 原田 騎郎, 永瀬 美穂
March 2021
Beginner to intermediate
288 pages
5h 8m
Japanese
O'Reilly Japan, Inc.
Content preview from スクラム実践者が知るべき97のこと

88スクラムによる組織設計実践

ファビオ・パンザボルタ ファビオ・パンザボルタ

30年以上も生き残ってきた会社は、組織的な習慣ややり方を長年積み上げてきており、短い期間で全体を変えることは不可能な複雑なシステムになっている。

そのような組織でも、アジリティを向上させなければというニーズは感じていた。それでも、組織システム全体で1つの大きな「アジャイルトランスフォーメーション」の必要があるとは感じなかったし、そんなことをしようとも思わなかった。堅実なプロダクトを1つ選んで、追加開発と進化のためにスクラムを導入することにした。

達成目標は明確に2つあった。1つめは、選択したプロダクトで、CEOが目指すマーケット投入時間の短縮、品質および顧客満足度の向上を達成すること。2つめは、組織での改善点を明らかにすることであった。

プロダクトに関わる全員に研修やワークショップを実施して、スクラムの理解を改善するような活動を続けながら、1年にわたって実験と発見を続けた結果、開発チームのフォーカスは大幅に改善した。品質とスピードが向上しただけでなく、チーム内の相互学習も促進された。そのためにクリアしなければならなかった重要なハードルは、これからチームは選択したプロダクトの専任になるということを組織に受け入れてもらうことだった。

2つめの目標については、スクラム導入のための重要な障害が明らかになった。見つかった課題は認知しておいてもらうために役員会に提起し続けた。ビジネス部門とエンジニアリング部門のコラボレーションは、改善すべき重要な分野のままだった。プロダクトオーナーシップは、あまりにも多くの人たちに分散しており、ビジョンとディレクションに影響を及ぼしていた。マネジメントによる障害除去の判断は、遅くなりがちだった。従業員はあれこれ抱え込みすぎて、深い実験から学習する能力が制限されていた。従業員へのコンプライアンス圧力が原因で状況を悪化させていた。「成功」は顧客満足のような指標ではなく、内部プロセスをどう順守したかで判断された。 ...

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