March 2021
Beginner to intermediate
288 pages
5h 8m
Japanese
| クリス・ルカッセン | ![]() |
パトリシアはイライラした様子でオフィスのキッチンに足を踏み入れた。食器棚からコーヒーカップをつかんで取り出すと、戸棚の戸をバタンと閉めた。
「大丈夫かい?」 チームのスクラムマスターであるセイコは片眉を上げた。
パトリシアは頬を紅潮させていた。彼女は自分が目に見えて動揺しているのに気づいていなかったが、プロダクトオーナーのデビッドはまたしても彼女を不安にさせることに成功したのだ。
「大丈夫です」と、彼女は作り笑顔で答えた。
「いや、ダメでしょ。どうしたの?」とセイコは尋ねた。
CEOのジュリーがスクラムをやろうとみんなを説得してからというもの、パトリシアはプロダクトマネージャーとしての自分の役割に無力さを感じる一方だった。彼女はこれをセイコに伝えた。確かに、それまでもチームに対してそれほど影響力を持っていたわけではない。それでも、以前はまだ何かを成し遂げることはできていた。今では何でもプロダクトオーナーを通さなければいけなくなった。もちろんデビッドにも彼なりの計略があった。
彼女はため息をつき「プロダクトオーナーを1人立てたことで、集中力と透明性が増したことはわかってます」と言った。「でも開発チームは私の経験も顧客インサイトも持っていないので、リリースしたものが顧客の課題にきちんと合ったためしがないんです」
セイコは「気づいてたよ」と言った。「実際、チームは顧客のことがよくわかっていないんだ。それで不安になっているんだろう。もしくは、コードを書いているほうが好きなだけかもしれないけど」 ...
Read now
Unlock full access