
55
人は数字を信用するものです。数字はコンピュータの中核部分であり、金融の基本部分であり、過去
1
世紀における人類の進歩の本質部分です。そして現代社会の多数派について言えば、数字というのは、
私たちが物事を知る方法なのです。どの薬が安全か、どの方針がうまくいくか、宇宙がどう進化するか
などを研究するのに、私たちは数字を使います。おそらく数字は、人間の道具のうちで、最も強力かつ
可能性を持つものの
1
つです。
しかし、どのような道具もそうであるように、数字がすべての事に適するわけではありません。数字
がほとんど答えにならない類の問題もあります。たとえば、
1980
年代の公衆衛生の研究者は、てんか
ん患者の抱える問題を定期的に薬を飲むのが難しいということで説明しようとしていました。そのため、
いかに多くの人が規則に従えないかを測定しました。従える人と従えない人の統計的な差を調べたので
す。さらに、従えない場合の影響を測
るための詳細で長期間に渡る制御実験すら行いました。しかしこ
れらのアプローチは、どれひとつとして、規則に従えないことと発作のつながりを明らかにできません
でした。方法は厳密でしたが、結果は曖昧でした。
その後、これらと異なるアプローチを取った草分けとなる研究が現れました[
Conrad 1985
]。規則に
従えないことを量的に測定しようとする代わりに、
Conrad
らはてんかん患者に
80
件のインタビュー
を行い、薬を飲むはずだったのに飲まなかった時の状況について調べました。
Conrad
らが見出したのは、 ...