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はじめに
私が子どもの頃、乾電池で動くおもちゃといえば、あっという間に電池
切れになるのが常でした。やがて「持ちがいい」と評判の電池が次々と発
売され、ウォークマンの登場とともに、繰り返し充電できる電池が身近に
なり、気がつけばいろいろな種類の電池に囲まれていました。
一方で当時の乾電池は水銀、充電式の電池はカドミウムという有毒な金
属が使われていて、便利さと引き換えに環境負荷を与えていることに疑問
を感じたものでした。しかしあるとき「水銀ゼロ」の乾電池が、カドミウ
ムを含まない新しい充電式の電池が次々と発売されました。これらは世界
に先駆けて日本のメーカーが商品化に成功したものです。このとき「技術
革新が進めば、便利さと環境は両立する」ということを感じたものでした。
そして現在、最も身近な電池といえば、もはや生活必需品となったスマ
ートフォンに使われているリチウムイオン電池ではないでしょうか。この
リチウムイオン電池の開発で、吉野彰博士が2019 年のノーベル化学賞に
輝いたことは記憶に新しいことでしょう。受賞理由は、「スマートフォン
やPCをはじめとしたIT化社会への貢献」「 環境問題を解決する可能性が
あること」の 2つです。まさに「技術革新が進めば、便利さと環境は両立
する」という点が評価されたのでした。
連日のようにリチウムイオン電池に関するニュース報道が駆け巡ってい
ますが、多くの人がリチウムイオン電池を含めて、電池の中身やしくみ全
般について知ることはほとんどありません。
そこで本書では、まずは電池の種類を整理しながら、その開発史の流れ ...