
26
イオン化傾向、電解液、酸化反応、酸化還元反応
世界初の化学電池のしくみ
1-7
電極の正負とイオン化傾向
金属は水溶液中で、電子を放出する性質があります。電子は電気的に負
電荷を持っているため、電子を放出した金属は正電荷を持ち、陽イオンと
呼ばれます。金属には種類によって、この水溶液中での陽イオンへのなり
やすさが決まっていて、これをイオン化傾向といいます。
図1-14 より、亜鉛の方が銅よりイオン化傾向が大きく、陽イオンにな
りやすいことがわかります。そのため希硫酸中では亜鉛の方がどんどん溶
け出し電子を放出するため、亜鉛板が負極となるわけです。一方の銅板
は、亜鉛や水素よりもイオン化傾向が小さいため、希硫酸中でほとんど溶
けないというわけです(図1-15)。
ボルタ電池の正極の反応構造
亜鉛板(負極)にたまった電子は、導線を通って銅板(正極)に達しま
す。このとき希硫酸(H
2
SO
4
)は電解液なので、水素イオンと硫酸イオン
にわかれています。正極に達した電子に、正電荷を持つ希硫酸中の水素イ
オンが引き寄せられ、電子を受け取って水素原子になります。この水素原
子2 つが結びついて水素分子となり、銅板(正極)から水素ガスが発生し
ます(図1-16)。
2H
+
+2e
-
→H
2
(B)
物質が電子を失う反応
ボルタ電池の負極では、亜鉛が電子を失いました(前節の反応式Aを参
照)。このように物質が電子を失う反応を酸化反応といいます。一方の正極
では、水素イオンが電子を受け取り水素になり(反応式B)、還元反応とな