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水素ガス気泡、分極、酸化銅(Ⅰ)
世界初の化学電池が
実用化されなかった理由
1-8
ボルタ電池の最大の欠点
世界初の化学電池として誕生したボルタ電池でしたが、実用化されませ
んでした。その原因は、ボルタ電池の最大の欠点である、反応の持続時間
が短く、すぐに電流が流れなくなることにあります。電流が流れると、正
極の銅板の表面を水素ガスの気泡が覆うようになり、反応を阻害するため
(=分極)と従来の高校の教科書では説明されてきました。
電流が流れなくなる理由
しかし実際に実証実験を行うと、正極だけでなく、負極の亜鉛板も希硫酸
に溶けて水素ガスを発生しています(図1-17)。
負極での水素ガスの発生により、正極に流れるはずの電子を消費するこ
とになるので、それだけボルタ電池の電流は少なくなります。また正極と
同様に、負極の亜鉛板の表面が水素ガスの気泡に覆われると、反応が阻害
されて分極が起こります(図1-18)。
実際の正極の反応とは?
一方の正極の銅板の表面は、実際には空気中ですぐに酸化されて(=さ
びて)、酸化銅(Ⅰ)となっており、負極からの電子を受け取って、次の
ような還元反応で電流は流れます。
Cu
2
O+2H
+
+2e
-
→2Cu+H
2
O
このように実際にボルタ電池の実証実験を行うと、非常に小さな電流し
か流れず、しかも両極で水素ガス発生により分極し、正極の反応も異なる
ことから、近年は高校の教科書では触れないことになりました。