
184
排熱を有効利用できる燃料電池
リン酸形燃料電池、被毒作用、改質処理
5-6
再び酸性の電解質に注目
アルカリ形燃料電池の課題が、燃料に二酸化炭素が含まれると電解質と
反応することでした。この課題解決のため、再び酸性の電解質に注目し、
リン酸を用いたのがリン酸形燃料電池(PAFC)です。
リン酸形燃料電池の開発は、1970 年代に天然ガスの用途拡大を目的に
アメリカで始まり、日本では1998 年から商品化が始まりました。
触媒はやはり白金
リン酸形燃料電池の電解質は酸性ですから、水素イオンが電解質中を移
動するカチオン交換型となり、反応式も次のように同じです(図5-14)。
燃料極:H
2
→2e
+2H
+
空気極:4H
+
+O
2
+4e
→2H
2
O
反応全体:2H
2
+O
2
→2H
2
O
セルの電池構造は、電解質のリン酸を浸した電解質膜を、燃料極と空気
極ではさんだものです(図5-15)。実際には高い電圧を得るために、この
セルをいくつかつなげて使用します。また酸性の電解質なので金属ではな
く、表面に触媒が塗られた、多孔質のカーボンを用います。
ここで使用する触媒ですが、リン酸は硫酸よりは腐食性が少ないのです
が、やはり高価な白金となります。白金は一酸化炭素によって触媒機能が
急速に衰える被毒作用があるので、燃料に天然ガスなどを使用する場合
は、改質処理が必要です。
運転温度は、液体電解質を使う燃料電池の中で最高の約200度ですが、
排熱を有効利用できるので、病院、ホテル、防災用などで活躍中です。 ...