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金属リチウムを使わない
という選択
リチウムイオン電池、金属リチウム、吸蔵
4-1
スマートフォンから電 気自動 車まで
二次電池の中でも、2019 年のノーベル化学賞に輝くリチウムイオン電
池(LIB)は、今では私たちの生活に欠かせない存在です。1991年に日本
が世界で初めて商品化して以降、スマートフォンやノートPCの小型化を
進め、最近では電気自動車において最重要技術です(図4-1)。
金属リチウムを使った二次電池
すでに1950 年代には、負極電極に金属リチウムを用いた、充電できな
いリチウム一次電池(2-11)は登場しています。これを二次電池に進化
させる研究開発が1970 年代アメリカで進められ、1987 年にはカナダで携
帯電話用に、二硫化モリブデン・リチウム電池として商品化されました。
しかしこの電池は、負極に用いた金属リチウムからのデンドライト(3-
12)の成長による発火事故を起こしたことから、普及しませんでした。
この事故以降も、デンドライトの問題は解決されておらず、金属リチウム
を使った二次電池の商品化は現在まで実現していません。
金属を使わないという選択
そこで登場したのが、金属リチウムではなく、リチウムイオンを用いる
という選択でした(図4-2)。ニッケル水素電池(3-13)では、負極電極
の水素吸蔵合金のすき間に水素が出たり、入ったりする(吸蔵する)性質
を利用していました。これと同様に、リチウムイオンが入り込めるすき間
を持った材料を負極活物質に用いて、リチウムイオンを吸蔵するというし ...