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私はこの本の「はじめに」で、顧客に共感をもつことが大事だと書きまし
た。自分たちの提供物をインサイドアウトではなくアウトサイドインの視点
で見つめなければならないのです。
しかも、新たな解
ソリューション
決法を考案する前にそうした共感をもつことが大切で
す。「すでにもっている共感を活かすこと」と「共感をもてるようになるこ
と」とは別物なのです。これについてはインディ・ヤングも著書『Practical
Empathy』(Rosenfeld Media, 2015)で次のように書いています。
まず顧客の話をじっくり聴いて共感をもてるようにならなければ、「共
感を活かすこと」などできるはずがない。……それなのに、時間を割い
て共感をもつという努力もしないで、共感しているふ
・
り
・
をする人
─
相
手の視点に、相手の立場に立っているかのようなふ
・
り
・
をする人
─
がい
るのである。
私自身、こうした「ワナ」にはまっていた時期がありました。前に勤めて
いた会社で、我々の小さなチームは、イベント企画のための新しいコンセプ
トの開発をなんと2 ヵ月にもわたって「密室で」続けたのです。将来、顧客
になってくれそうな人々との接触は実質皆無でした。
すでにターゲットユーザーへの共感をもてている人から見れば、このソ
リューションに重大な欠陥があることは明白だったでしょう。ユーザーの
ニーズに応えるものでも、ユーザーのメンタルモデルに合致するものでもな
かったのです。我々チームの情熱は並々ならぬものでしたが、このコンセプ
トは当初から失敗に終わる運命にありました。あの時、まずユーザーへの共 ...