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8
章
将来のエクスペリエンスの構想
8.3
ユーザーストーリーマッピング
私がまだ幼かった頃、隣家の子がミスター・ポテトヘッドの人形をもって
いました。「え? 何それ?」と思った読者のために紹介しておくと、のっ
ぺらぼうのジャガイモの形をした頭に眉毛だの目だののパーツを差し込んで
面白い顔を作っては楽しむプラスチックのおもちゃです。たとえばコメディ
アンのマルクス兄弟のお兄さん、グルーチョ・マルクスがかけていたような
真ん丸メガネに、真っ赤な分厚い唇、といった組み合わせは痛快です。
そんなミスター・ポテトヘッドで作った顔のようなソフトウェアができて
しまったら開発者は頭を抱えることでしょう。しかし、構築中のソフトウェ
アについてチームで共通のビジョンがもてていないと、相性の良くない要素
を図らずも組み合わせてしまうケースも起こり得るのです。
現在ソフトウェア開発で主流のアプローチとなっているアジャイルな開発
では、プロジェクトを塊
チャンク
に細分し、このチャンクを「ユーザーストーリー」
と呼んでいます。ユーザーの視点からまとめた機能の簡略な記述です。通常、
ユーザーストーリーは次のような形を取ります。
[ユーザーのタイプ]として、私は[ゴール]をしたい。なぜなら[理
由]だから。
ユーザーストーリーを使うと開発の管理は容易になりますが、同時に構築
中の製品の全体像をチームが見失いがちになります。個々の機能に焦点を当
てるとチームの視野が極端に狭まって全体像が見えづらくなる傾向があるの
です。
そうした視野狭窄が招く「ソフトウェア開発のミスター・ポテトヘッド状
態」を避けるため、アジャイルの専門家であり指導者であるジェフ・パット
ンが「ユーザーストーリーマッピング」という手法を考案しました。パット
ンは開発チームにこう提言しています ...