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章
戦略的洞察の可視化
しかしこれによって国民の暮らしが向上したかというと、そうではなく
*
、
1970年以降、労働時間の増加と所得の減少が続く一方で、配当金の形で見
た株主価値とCEOの賃金とが急上昇しました。その結果、企業に対する信
頼感は史上最低レベルにまで落ち込み、多くの社会問題や環境問題、経済問
題の責任が企業にあると見なされるケースが増えています。
しかし幸い、天秤はまたしても動き始め、事業戦略の視点が「株主価値の
増大」から「共通価値の創出(CSV:Creating Shared Value)」へと移りつつあ
ります。米国の企業競争戦略の大家、マイケル・ポーターは「共通価値の創
出」と題する重要な論文の中で、企業戦略の転換点が来ていることを指摘し、
自らの市場を犠牲にしての企業経営はもはやあり得ないとして、次のように
書いています。
問題の大半は企業そのものにある。過去20〜30年間に提唱された時代
遅れな価値創出法にとらわれて身動きもできずにいるのだ。そのため、
価値創出の視野が相変わらず狭く、実世界とかけ離れた所で短期的業績 ...