もう 1つの対立:ペイウォール
VS
広告
本書ではビジネスモデルとは価値創出の方法を指すが、企業は同時に複数の方法で
収益を得ることができる。そして、これらの手段は互いに影響を及ぼし合うことがある。
たとえばジャーナリズム系のサイトでは記事内に広告を表示する一方で「ペイウォール
(有料記事の購読制限)」を設けることができる。つまり、一定の記事を読むためには読
者が定期購読料を支払う必要があるというモデルだ。
確率を考えると、有料記事よりも無料記事のほうが多くの読者に読まれる。なぜならば
有料でも読もうとする人は無料でも読むからだ。そして価格が高いほど、実際に購入する
人 の 数 は 減 って いく。
では、もし読者が減ったことによる広告収益の低下を購読料で補えないとしたら? ある
いは逆に、読者が減っても購読料モデルのほうが広告モデルよりも儲かるとしたら? それ
とも無料の広告モデルと有料の購読料モデルを併用するのが最適なのか?
うーん、これは難しい。 簡 単に答えは出 せないだろう。どちらのモデ ルもうまくいくかも
しれない。最適な戦略を導くためにデータに基づいた判断が不可欠だ。
UXデザイナーとして、私たちは常にいかなる瞬間もユーザー価値とビジネス価値が成立
しているかどうか意識する必要がある。もし広告収益を意識してページビュー数を稼ぐ設計
をしているにもかかわらず、実際にはその記事を読んでいるのが大切な有料購読者だった
場合、彼らの体験を損なってしまいかねない。逆に広告表示をする必要があるのに購読
者の満足を優先してしまうことで、ビジネス機会を損なってしまうかもしれない。繊細なバラ
ンスを 持 つ ビ ジ ネス モ デ ル の 危 なっか しさとい ったらな い 。
目 的ごとに 異 なる UXを設