「で、誰がその行動をとるの?」
良いデザイナーであるために、確率について数学的に深く理解する必要はない。確率
の感覚が大事だ。本書には確率の感覚を養える事例がたくさん出てくるが、その前にもう
1つ、確率がデザインにどんな影響を与えるか、紹介しておきたい。それは、ユーザーが
経験する可能性についてだ。
ユーザーが いればいるほど、何かが 起きる頻 度は高まる。逆もまた然り。ユーザーが 誤っ
てファイルを削除する可能性が 1%ある、というのは、とても少なく感じるかもしれない。 確
かに、ユーザーが 10 人しか い ない 場 合 、 問 題 は めったに起きない 。しかしユーザーが 1億
人 い るとなると、 不 運 な ユーザ ー が 今まさにファイル を 削 除しているということに なる 。
使用頻度によっても可能性は増える。ユーザーが毎日ファイルに触るなら、年に数回は
誤ってファイルを消してしまうだろう。悪夢だ! 年に1 回しか ファイル を 触 らな い の で あ れ
ば、いつかは消すこともあるだろうが、全体的に見てその可能性は少ない。
UXで確率と言えば、ユーザーテストに必要な人数の議論ばかりだ。確率について理解
していないとこうなってしまう。アンケート調査を行う場合、人口構成を代表する結果になる
ように、回答を多く集めないといけない。だが、ユーザーテストはよくある問題を見つける
ために行うのであって、人口構成を代表させるためにやっているのではない。5 人 テ ストす
るだけで、 3 割 くら い の ユ ー ザ ー に 関 わ る 問 題 は 見 つ け ら れ る 。 約 3割にとっての問題は、
5 人いれば 1 人 くら い に は 当 て は まる か ら だ 。 た っ た 5 人の中