あなたのせいじゃなくて、たぶん彼らのせい
この本を書き始めるにあたって、私よりも大企業での経験が豊富なUX分野の友人たち
に「デ ザイナーが 他 の 分 野 の 人と働く上で知っておくべきことって何だと思う?」と聞いてみ
た。
その答えは意外なものだった。
ステークホルダーとの関わり方、フィードバックの受け止め方、コラボレーションの話など
ではなく、みんな口を揃えて「企業文化が合わないと思ったら、その仕事はやめておきな
さい」といった趣旨の助言だった。「人間として尊重されない会社では働くべきでない」「自
分の性格が企業文化に合わない場合は選ばない」「倫理的に納得できない活動をしてい
る会社には留まらない」など、それぞれの視点は少しずつ違ったが、誰もがまずその話題
を挙げた点は共通していた。
もう少し突っ込んで聞いてみると、多くの人、特に若い人や経験の浅い人たちは、(職
業的に、あるいは人生全般において)自分が悪いわけではないと認識できるだけの経験
がまだ十分にないのだと説明してくれた。だからこそ自分の生き方や性格とまったく合わな
い職場や文化でも、うまくいかない原因は自 分 の ほうに あ ると 思 い 込 ん で 働 き 続 け てしまう
のだ。
この章では、人との関係やステークホルダーとのやりとりでうまくいく方法や苦労する場
面について扱う。でもその前に 1つ 覚 えてお い てほしいことが ある。そもそもその 仕 事を引
き受けない 、 あるいは 辞 めてしまう選 択もあるということを。