訳 者あとがき
本 書 は『 UX for Business: How to Design Valuable Digital Companies』の
全訳です。著者のジョエル・マーシュは、2016 年 に『 UX for Beginners: A Crash
Course in 100 Short Lessons』(未邦訳)をOʼReillyか ら 出 版 して い ます。
冒頭に出てくるバイク乗りのごとく、奔放な文体に我々翻訳チームは振り回されつつ、
デザインがアクロバティックな営みであること、同時に小さな種子から大きな森ができあが
るがごとく、シンプルな原理原則の組み合わせが偉大な成果へと昇華する豊穣な営みで
あることを本 書 は 教えてくれます。
デザインの営みの特徴として、方法論化することが挙げられます。よく知られた方法論と
しては、顧客の体験の連続を視覚的に表現したカスタマージャーニーマップがあります。こ
うした 方 法 論 は 、フレームワークと呼 ば れることが あります。フレームワークの み ならず、 箇
条書きになった教訓、デジタルツールの使い方のようなチップスのような方法論もあるでしょ
う。デザインの実践の成果として生まれた方法論は再利用可能な“公式”として受け入れ
られ、デザインの可能性を積み上げていく存在としてなくてはならないものになっています。
優れた方法論は、数々の実践と成果を経て、人から人へと伝わり、基礎的な教養とし
て定着していくはずです。つまり、フィードバックループが方法論を選別し、改善します。し
かし、その一方で、それっぽく理解はしやすいが、実践と成果という検証を経ていない方
法論がソーシャルメディア上を埋め尽くし、研修として販売され、コンサルティングワークと
して