なぜ複雑な手法はたいていダメなのか?
シンプルな手 法 は 、ときに洗 練されていないと感じられることが ある。マーケター(もしく
は 独 自 のフレームワークを売り込 みたいコンサ ルタント)は 、まさにそう感 じさせ た が って い
る。より複雑なものを売りたいからだ! 分析ツールも、かつては単純な表やグラフの形
でデータを提示していたが、今では高度なAIアシスタントや自動レポートに進化している。
しかし、皮肉なことに、そうした進化形は、元の簡素なデータ表示よりも実はできることが
少ない、これがその理由だ。
これまで述べてきたように、最も優れた洞察はシンプルな問いと優れた傾聴スキルから
生まれる。ただそれだけ! データから得られる最も価値ある洞察も、本書で紹介してきた
ようなシンプルな理論、すなわち「どこに価値ある問題があり、それに関連する症状や確
率がどうなっているか?」という問いを手がかりに得られる。あとは、自社の全体像を理解
し、得られた洞 察がどこにどうフィットするかを見 極 めるだけだ。これこそが UXの仕事であ
り、それは常に、そして永続的に求められるものなのだ。
非常に細かいレベルでの最適化、たとえばこの青にするか、あの青にするかといった
議論は、ほとんどの場合、時間の無駄だ。例外として、Googleのように数十億人のユー
ザーを持つプロダクトでは、こうしたごくわずかな最適化でも数百万ドル規模の収益向上に
つながる可能性がある(ただし、こうした最適化は一般的なユーザーテストではなく、高度
に統計的な手法によって行われることが多い)。
数分以上にわたって細部にこだわり始めたとき、それは「自転車置き場の議論」に陥っ
ている可能性がある。自転車置き場の議論とは何か? その質問には愉快な回答を用意 ...